失敗しない家の選び方解説Success
Youtubeにて公開中の店鳥と新人事務員よっしーの「失敗しない家の選び方解説」シリーズのテキスト版です!
今回は屋根の軒の出について話していきたいと思います
よろしくお願いします!
すいません、軒の出ってなんですか?
軒の出というのは屋根の先が建物から飛び出している「軒先」の長さを言います
この軒の出が多い、少ないで建物外観の印象がかなり変わるんですよ
なるほど、あまり気にしてなかったです
建物のデザインによっては軒の出があるとおかしい、逆に少ないとおかしい、というのもありますので、基本的にはお好みの外観デザインで軒の出の長さを決めて良いのですが、機能面にも関わってくる部分なので、今回は「軒の出の深さ」についてメリットとデメリットをお話していきますね
はい、お願いします!
まず、機能的には日本の気候風土では、軒の出が深いほうがメリットが多いです。
昔からの日本家屋で軒の出が少ない家ってあまりないんですよ
ということは、日本では経験則から深い軒の出が良いとされてきたんですね
そうなんです、なぜ良いとされているかをお話しますね
まずは、当たり前なんですが、軒の出が深くなればなるほど、外壁にあたる雨や紫外線の量が少なくなります
外壁、窓の汚れが付きづらくなりますし、劣化を遅らせることが出来るんですね
結果、お掃除や将来のメンテナンスの期間が長くなることになります
軒の出が多少深くなっても雨の影響はあまり変わらないような気がします
確かに風が強い雨の日だと、横殴りの雨となって軒の影響はあまりありませんが、普段の雨であれば意外と影響があるんです
例えばこのように浅い軒の出でもコケや藻の付着をある程度防いでいるのが分かります
次に、夏場の強い日差しをカットしてくれ暑さを防いでくれます
冬場は日差しが無いと寒くないですか?
はい、日本では冬場の太陽の高さが低いので、軒の出が深くてもちゃんと光が入ってきてくれるんですよ
具体的には、昼12時の時点の太陽の角度は夏場で78度、冬場だと30度ほどなんですね
なるほど、ある程度の軒があれば夏の直射日光だけ防げそうですね
特に床が複合フローリングの場合、この夏の強い直射日光は表面のプラスチック層の劣化原因になりますし、冷房の効きも違ってきます
また、雨漏りの防止にも効果があります
屋根と外壁の取り合いの部分は雨漏りが発生しやすい部分なんですよね
取り合いの部分とはどんな部分ですか
取り合いとは「接合部分」のことで、この場合、壁と屋根の繋ぎ目の部分になりますね
台風等の強い風を伴う雨ですと、この取り合い部分から雨が入り構造をいためてしまうことがあるのですが、軒が深いとその可能性が低くなります
この部分にコーキング剤を使って、雨の侵入を防ぐようにコーキングする事もありますが、コーキング剤はずっとはもたないですし、見た目にも影響してしまいます
そして最後にデザイン面ですが、これは好みがあると思いますが、落ち着いた普遍的なデザインとなります
また、外壁に落ちる影が大きくなりますので、陰影が大きくなり、これもまたどっしりとしたイメージになりますね
特にデザイン的なこだわりがなければ、軒の出は深ければ深いほどいいような気がします
はい、デメリットもありますのでそちらもお話しますね
1つ目はコストがかかるということです
例えば、軒の出30cmの屋根と軒の出90cmの屋根を比べると一回り、屋根や軒廻りの面積が大きくなってしまいます
また、軒の出が浅いと、その屋根を支える部材は細くて間隔も広くてよいのですが、深くなると風にも煽られやすくなりますし、長い年月でも垂れないように太くて間隔も短くしなければなりません
施工面積が大きくなるのと、頑丈に作らないといけなくなるってことですね
そうです、そして2つ目は、立地条件やプランニングにも関係あるのですが、軒を深くしすぎるとやはり暗くなります
出せば出すほどいいってわけでは無さそうですね
はい、90cmくらいなら問題になるケースは少ないと思いますが、それ以上の場合はよく検討した方が良いと思います
そして、お好みのデザインにあわないことがあるということです
例えば輸入住宅風のデザインの中でも南欧風や英国風だと軒の出が浅い住宅が多いです
また、「モダン」といわれるデザインの住宅の中でも軒の浅いものがお好みだと、デザインが破綻してしまうことになります
これは例えばRC造(鉄筋コンクリート住宅)っぽく見せるデザインだと、軒の出自体がなかったりしますね
デザインに強いこだわりがあれば軒の出は無くてもいいんでしょうか?
そうですね、若干の快適性や後々のメンテナンス代が変わってくると思いますが、デザイン重視でもいいと思いますよ
ただし別の話にはなりますが、住宅のデザインに関しては30年、40年後もそのデザインが良いと思えるか、というのがなかなか難しい部分でして
場合によっては、時間が経つと「昔の流行」を見てる感覚に陥ってしまう可能性があります
後々を考えると普遍的なデザインも悪くないですね
そして最後に、土地の制限によっては軒が出せないこともありますのでお伝えさせていただきます。
家を建てる場合、自分の敷地内だから自由に建てられるわけではなく「斜線制限」「採光」等の建築基準を守らなければなりません。
敷地が狭かったり、基準が厳しい地域ですと軒を出したくても出せないケースもあります
わかりました!今後は軒の出も注意して見ていきたいと思います
はい、それでは本日は屋根の軒の出についてお話させていただきました
ありがとうございました!
ありがとうございました